CMSベンダーをやっていると、色々なケースでのサポートを依頼されます。その中には、これはCMSは入れない方がいいだろう、って場合も少なくありません。

サポート依頼が導入構成の設計以前の段階にあったときには、できるだけそういうことにならないようなお手伝いをさせてもらうよう心掛けてはいるのですが、よく言っていることをチェックポイントとして公開しておくのも悪くないかと思い書いておきます。

CMSの導入を依頼する前に思い返してみて下記に全てマッチしているということが無ければ、大きな失敗は避けられるかと思います。

 

マーケティングのプランとCMSの導入プランとをリンクさせられていない

 

たとえばSEO上狙うキーワードを増やすためにページを量産しなければならず、CMSの導入が必須である、というプランが最初にあれば、何をCMSでしたいのか・しなければいけないのか明白です。ソーシャルメディアにリンクを張ってもらいやすいようなコンテンツの継続的追加でもいいです。どちらにしろCMSの導入ではなくコンテンツの制作が主役のお話です。そのうえで、そのコストをどこまで下げられるかが導入の可否を決めるポイントです。

これは細かなデザインについてもいえることで、そのデザインを採用することでどういうメリットがあるのかわからないのにデザインありきで複雑な(費用・手間のかかる)CMSの構成にしてしまうと、割高な買い物をしてしまった、ということになります。(デザイン優先で割高でもいい!ってケースももちろんあるでしょうけど、わかってやるのとわからずにやるのとでは全く意味が違います)

 

運用者の立場やスキルも考えた運用コストについて検討がない

 

セレクトファームの「今週の野菜セット」のページや、明石クリニックさんの診療予定表などは、サイトを見る方がなぜそのコンテンツを必要とするのか、状況を想定するのが容易です。野菜セットの一覧は、「今週はどんな野菜が入っているんですか?」という問い合わせが実際に多かったからサイトに設置しました。そして実際に問合せ数の削減と注文の増加につながりました。

つまり、マーケティング上のCMSの役割が明確なのであれば、あとは運用のコストがどれだけ下げられるかです。そして、そのコストは運用者の立場、スキルによって大きく変わります。セレクトファームの野菜一覧は農作業の空き時間だけで操作ができるように、おそらくPCで操作する範囲ではほとんど限界ちかくまで運用コストを下げています

 

代替案の検討がない

 

単に新着情報を更新する、その新着情報の詳細ページへの集客は期待できない(夏季休業のお知らせとかしか出さない)というのであれば、Twitterでアカウントを取ってウィジェットを張り付けておくだけで十分です。FBのプラグインで代替できる機能も多いでしょう。

 

リニューアルの想定がない

 

よくあるケースに、CMSを導入してしまっているがゆえに細かな修正にかかるコストが跳ね上がってしまう、というのがあります。WEBサイトできっちり成果を上げていきたければ、継続的な改善は必要不可欠です(最初にバシッと最良のものを決められれば良いのですが、実際は集客してみて初めて分かることがたくさんあります)。

活用できるかどうかも分からないのにCMSを入れてしまい、さらにその部分のリニューアルの可能性も減らしてしまうのでは踏んだり蹴ったりです。

CMSをそこに入れるかどうか検討する前に、1.そこに導入するコスト、2.導入した場合に将来デザインリニューアルをするコスト、3.導入していない場合に将来デザインリニューアルをするコスト、4.当初は導入せずに後からCMSを導入するコストそれぞれをちゃんと比較して考えるのがよいと思います。

 

CMSというのは文字通り、コンテンツを管理するシステムです。だから大事なのはコンテンツです。

・どんなコンテンツを

・どんな理由で

・誰に見せたいのか

・コンテンツは誰が、どのような状況で作成するのか

しっかりイメージを持てるのでしたら、そのCMS導入はいい結果につながると思います。

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SOY CMSに限らず、どんなCMSでも言えることだと思うのですが、CMSのテンプレートに加工されることを前提としたHTMLのコーディングを依頼する際にいつもお願いしていることを列挙しておきます。

CMSだけじゃなくて、システムの中に組み込まれるHTMLも一緒です。

 

画像やCSSのリンクはルート相対パス("/~")で書く

 

CMSに組み込むと(CMSにもよると思いますが大抵は)、どんなURLでそのテンプレートが呼び出されるか設定に依存するようになります。相対パスだとURLが変更になった時に書き換えないといけませんし、テスト環境などでうまく表示されない可能性が上がります。

 

繰り返しの処理を意識して書く

 

繰り返しの単位になるところにコメントを入れておく、繰り返す部分はできるだけシンプルで単調な(繰り返し毎に別々のclassが入ったりしない)コードにする、などすると組込みが楽になり、メンテナンス性も上がります。


CMS組込み対象の部分は「明らかにダミーとわかる」文章や画像を入れておく

 

CMS組込み対象の部分も本来のコンテンツを入れてきれいにコーディングしてしまうと、組込みのとき表示側を見て、どこまで作業が完了したか、動作を正しくしているかどうか確認するのが難しくなります。その点、明らかにこれはダミーだろう、とぱっと見てわかる文章や画像を入れておけば状況の把握が楽です。また文章の量がわからない場合は、長めのダミーを入れておきます。

 

三つ並べてみましたが、言いたいのは最後の点だけです。。。

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今年の頭にSOY CMSのサイトをリニューアルしたのですが、その際制作者向けの内容を思い切ってほとんどすべて削りました。同じ内容でも、サイトオーナーの立場に立った表現に書き改めました。

たとえば、HTMLの変更に強いということだと、「組込みがしやすい」ではなく「継続的なリニューアルがしやすい」と表現する、というような感じです。

 

誰のためのCMS?

http://www.calmtech.net/2012/05/29/aoit-report-20120526/

このような記事を読んだのですが、CMSベンダーの立場からだとこの問題はもっと複雑です。大抵の場合、CMSが導入される流れは下記のようなものです。

 

サイト閲覧者

サイトオーナー

制作者

CMSベンダー

 

だから、ベンダーの立場からは制作者を通して、サイトオーナーを通して、サイト閲覧者のためになることを考えなければいけません。純粋にお金の流れ、という点ではサイトオーナーの利益の最大化を、制作者を通して考えなければなりません。制作者が手に入れるお金は、サイトオーナーが得る利益の一部が分配されるもの(あるいはサイトオーナーが利益を得るために積む掛け金)と考えるのが自然だからです。

 

だから僕は今、CMSの導入というプロセスをこう定義しています。

 

ウェブマーケティングの再権限移譲

 

つまり、今まで企業のWebマーケティングを制作会社なりに委託していたのを、CMSの導入により企業内の担当者に改めて権限を戻す、ということです。

CMSを通じて投稿、公開されたコンテンツは閲覧者や検索エンジンにはテンプレートに直接書かれたコンテンツと区別なく扱われます。

なので、どこまでの部分を再権限移譲するかはケースバイケースでしょうが、CMSにログインしてコンテンツを編集する以上、その人はWebマーケティング担当者です。

担当者である以上基礎的なWebマーケティングの知識は持っていてほしいところです。ソーシャルメディアの重要性が大きくなっているとはいえ、SEOは外せないポイントです。SEOという言葉も知らなければ、どんなキーワードで記事を更新すべきか考えるということの大事さに考え至ることもありません。

さて、ここで考えてみると、業務でログインする度に見るCMSの名前をgoogleに突っ込んでみることをしない人にSEOを考えることができるでしょうか?

検索エンジンの使用は積極的なアクションです。何か知りたいことがあるから検索する。そういうことをする人の気持ちを考えられるのが、Webマーケティング担当者に求められるひとつの素質だと思います。

 

見つけてうれしいコンテンツ、残念なコンテンツ

 

なので、サイトオーナーの方、実際にCMSを操作する方がCMSの名前で検索をした場合のことを考えてみました。

制作しやすい、って出てくるのと、儲かる!って出てくるのとではどちらが嬉しいでしょうか?どちらがそのCMSを導入した制作会社に対して信頼感アップでしょう?僕は後者だと思います。

だから先に述べたように、CMSのサイトリニューアル時にはサイトオーナーの立場に立った表現にできるだけすべての内容を改めるようにしました。

これは制作者に背を向けて、サイトオーナーの方だけ向くようにしたわけではありません。結局そちらの方がみなハッピーだろう、と思いそうしました。

今のところ、問合せ数などの状況では大体良い方向に成果は出ています。

 

利益配当のバランスも、最初に、何のためのサイトなのか、プロジェクトの目標はなんなのか、ちゃんと意識を共有していればそんなに複雑な問題にはならないんじゃないかという気がします。逆に、そこがまとまっていないとプロジェクト自体遅延したり、炎上したりというリスクが増えるように思います。

その点、サイト制作時にはまず最初に、コンセプトメイキングと同時にSEOやソーシャルメディアマーケティングのプランをしっかり詰めるのが閲覧者像の想定を共有する意味でもいいのではないかと考えています。

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