ITにおける技術ってなんだろう?


普通、工学一般の技術といえば、個人がちょっとやそっとで身につけられるものじゃないのに、ITに関しては数ヶ月で第一線の技術者、なんて珍しくない。たぶん、本質的には全く違う種類のものなんだろう。

昔からずっとそう疑問に思いながら、なかなか整理できていなかったことをまとめてみました。



まず、言葉の定義から始めます。


一番広い意味の技術を、まず、技術(広義の技術)と技能に分けます。技能というのは、職人技のような、個人の能力として完結する種のものです。


次に、広義の技術を、狭義の技術とそれ以外に分けます。狭義の技術とは、古くからの工学における技術を差します。それと、それ以外についてどのような差があるかを議論の中心とします。


さて、狭義の技術について、わかりやすい例を中心に考えていこうと思います。自動車の板金加工技術なんてどうでしょう。誰でも簡単に想像できると思いますが、この技術は自動車のデザインにも大きな影響を及ぼします。昔は四角い自動車が多く、それから丸い自動車が増えて、最近は複雑な形状の自動車が多くなっているというのは、指摘されればすぐに気がつくことでしょう。


板金加工技術(プレス技術)の本質は、材料の選択、温度設定、プレス速度設定、プレス順序の設計など、様々な要素を最適に組み合わせることにあります。そして、その組合せをみつけることが研究開発の主なプロセスになります。現場を知らないので正確なことはわかりませんが、理論的に正しいと思われる領域をみつけ、そこを中心に試行錯誤を繰り返すというのが一般的なやり方でしょうか。


このような技術には、一度最適な解を見つけると、だれでもそれが再現可能になるという特徴があります。ただ、最適解を見つけるプロセスに、一定の知識と熟練が必要とされます。



そして出来上がった加工技術ですが、どう使いましょう?色々考えられます。自由なデザインに生かすのもいいですし、強度設計を最適化して、車体の軽量化につなげることだってできます。衝突安全性の向上にも役立つかもしれません。


そう、つまり、こういった技術は、製品開発の前提となるものなんです。技術力のある会社は、それだけ多く製品開発に選択肢を持つことができる。技術を持たない会社は、そうやって出来上がった商品を見ても、真似をすることができない。


さてそろそろ、ITの話に戻ります。


ITで、上記のような性質のある技術ってなんでしょう?ハードウェアについて、CPU設計なんかは完全にそういう要素が多そうです。部品の製造についても大体そうでしょう。ソフトウェアについては、OSレベルで既にちょっとだけ怪しくなります。ではサーバアプリケーションは?その上で動くアプリケーションは?


順に考えていけば分かりますが、ソフトウェア、特に最近主流のWebアプリケーションについては、製品開発の前提となるような狭義の技術については、全てオープンなプラットフォームになってしまうんですね。この技術がないと、こういう仕様は実現できないんだ、すごいぞ!というものを作っても、普及しない。既に普及している(=陳腐化している)技術をベースにした製品しか、使ってもらえないんです。同じコンピュータソフトウェアでも、家庭用ゲーム機のゲームなどを想像してもらえば、どういうことか理解しやすいと思います。


なので、ITにおける技術というのが、狭義の技術ではないことが分かります。では、それ以外の技術ってどんなものなんでしょう?


それはまた次回。


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